ヒストリー・オブ里国隆。盲目の謡人、その見えぬ瞼の裡に映るもの。
生涯を奄美・沖縄の村々を辻から辻へと辿り歩いた盲目の謡芸人の記録。
女、金、旅、うた…、その漂浪半生の全てを自らの語りと唄三絃で綴る。
漂白の中で鍛えられただろう、黒声と呼ばれ異端と目された野太い濁声。
その無頼の歌声は独特の「懐かしさ」と底なしの「優しさ」を生み出す。
裏声を特徴とする奄美の島唄にあって嗄れた濁声で低く唸るようにうたう里国隆一流の歌唱法は「黒声(クルグイ)」と呼ばれ、一処に定着せず、楽器を携え身一つで辻に立ち、唄うたい旅に棲む、里の生き方、烈しい唄への向き合い方は異端と目されてきた。だが、自ら選んで流離し漂白に遊び鍛えられた無頼の歌声には「懐かしさ」と「優しさ」が宿り、「島唄」に独特の陰影を刻む。
前作『あがれゆぬはる加那』(on-17)では里国隆の竪琴による軌跡の絶唱で構成したが、この『黒声)では三弦に焦点を当ててまとめてみた。前作に劣らず本作で聴こえる歌声もまた名唱揃い、そのなかで取り分け貴重なのは、里国隆生涯最後のライブとなった沖縄ジャンジャンでの録音だろう。死の4日前に録音されたラストライブは最期まで漂白の謡人だった里国隆の熾烈な生涯を物語って聴くものの心を激しく打つ。
また、46頁におよぶブックレットには奄美のタウン情報誌「『orizon』に掲載された、宮川勉氏による里国隆一代記「野ざらしの人」に加筆した決定稿が措かれ、この不世出な謡人の生涯を知る上で貴重な資料となっている。さらに、ボーナストラックとしてパソコンで再生できる特典映像、映画「あがれゆぬはる加那」よりプロローグ「雨ぐるみ」が収められており、こちらも一見の価値あり。
これぞまさにヒストリー・オブ里国隆。生涯を漂白と唄に捧げた盲目の謡人、知られざる伝説をつたえる、“記憶を記録する”一代の「物語」に仕上がった。 2000年作品
1.語り〈1〉「ずーっと、村々を放浪しました。」
2.こうき節
3.しょんかね
4.あがれゆぬはる加那
5.語り〈2〉「今は、根もはもないうたばかりだ。」
6.わたしゃ
7.かばしゃげ
8.天草
9.語り〈3〉「里国隆はインスタント・ラーメンではありません。」
10.かんつめ節
11.すわゆい節
12.六調
13.語り〈4〉「17のとき、はじめて女を抱いた。」
14.缶詰節(かんつめ節替唄)
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雨ぐるみ ≪ボーナス映像≫ 映画『あがれゆぬはる加那・プロローグ』より
里 国隆 唄・琴・三絃
萩原君江 返し
中村八重 合方
萩原茂俊 歌い手
川畑シギ 歌い手
松山美枝子 合方
■ 商品説明
ヒストリー・オブ里国隆。盲目の謡人、その見えぬ瞼の裡に映るもの。生涯を奄美・沖縄の村々を辻から辻へと辿り歩いた盲目の謡芸人の記録。女、金、旅、うた……、その漂浪半生の全てを自らの語りと唄三絃で綴る。漂白の中で鍛えられただろう、黒声と呼ばれ、異端と目された野太い濁声。その無頼の歌声は独特の「懐かしさ」と底なしの「優しさ」を生み出す。
■ 商品仕様
製品名 | 黒声 / 里国隆 |
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型番 | o-40 |
JANコード | 4571258150404 |
メーカー | オフノート |
製造年 | 2000年 |