刻の刻をかいくぐる、音の底の底を自在に泳ぎ廻る。
コントラバスを担いで音楽の間を往来闊歩する自由人・船戸博史。
待望のソロアルバム、遂に完成!共演:関島岳郎、中尾勘二。
サイツ、ふちがみとふなと、登敬三トリオ、大島保克&オルケスタ・ボレ、エミグラント、ビジリバ、ウィリキンソン・ブラザース等自身の参加グループから、大工哲弘、浜田真理子、高田渡、中川五郎、オクノ修、夢野カブ等々の歌ものサポート、ジャズのみならず、ロック、フォーキー・ミュージックから琉球島うた、果てはチンドンに到るまで、コントラバスを担いでジャンルを跨いで八面六臂の活動をつづける船戸博史、待望の初ソロアルバム。関島岳郎、中尾勘二、二人の強力なサポートを得て、「ポスト・コンポステラ」「ポスト・サイツ」へ大股の第一歩を踏み出した記念碑的作品。永年温めてきたのだろう噛めば噛むほど味が出る曲想に、初トリオにして聴けども聴けども飽きが来ないバランスの取れた演奏はまさに鬼に金棒。まさに黄金のリオ、ゴールデントライアングルの完成だ。いまは儚き盟友・大原裕の作品『ななしのストリッパー』が聴けるのもうれしい。船戸のベーススタイルをそのまま映したような自由闊達でカテゴライズ不能なインストルメンタルミュージックが実現した。どこかの国の誰かのコピーではない、真に「オレたちの音楽」がここにある。初のリーダーアルバムはマージナルマン・船戸に相応しい面目躍如の快作となった。2004年作品
1.マラカイのひとりごと
2.東山
3.ララのテーマ Lala`s Theme from ゛Doctor Zhivago゛
4.ななしのストリッパー
5.katse
6.魚の樹
7.AEC
8.LOW FISH
musicians
船戸博史...contrabass, percussion
関島岳郎..tuba, trumpet,alto & great bass recorder, percussion
中尾勘二...drums, soprano & tenor saxophone, klarinette, percussion
[試聴]
5.katse
■ 商品説明
刻の刻をかいくぐる、音の底の底を自在に泳ぎ廻る。コントラバスを担いで音楽の間を往来闊歩する自由人・船戸博史。関島岳郎、中尾勘二の援軍を得て、船戸のベーススタイルをそのまま映した自由闊達でカテゴライズ不能なインストルメンタルミュージックが実現。初リーダー作はマージナルマンに相応しい面目躍如の快作となった。ポスト・コンポステラ、サイツへの第一歩を踏み出した記念碑的作品。
■ 商品仕様
製品名 | LOW FISH / 船戸博史 |
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型番 | on-54 |
JANコード | 4571258150541 |
メーカー | オフノート |
製造年 | 2004年 |
MEMO LOW FISH 2018
ここ数日、 定期検診に通っている病院で風邪を染されたらしく、すっかり体調を崩してしまった。それで本作の成立事情が記憶の底から蘇ってきたのだから可笑しい。2004年2月、わたしたちは小暮はなの第一作(『鳥になる日』off note / on-51)を制作するために京都に向かった。東山を望む南禅寺にほど近い町屋を二棟借りて録音&合宿を敢行しようという目論み。が、録音当日、主役である小暮はなちゃんが初録音の緊張からか風邪を拗らせてまるで声が出ないありさま。当日の録音を仕方なくあきらめ、自宅で養生してもらうことにする。手持ち無沙汰のわたしたちはほどなく酒盛りを始めた。すると、どこからか聞きつけたのか、京都の仲間たちが一人また一人とやって来る、船戸博史さんもやって来た。その中には亡くなったひがしのひとしさんも薄花葉っぱのメンバーもいたと思う。体調不良で自宅療養のはずのはなちゃんまで途中参加したのだから何をか言わんや。「ま、それにしてもはなちゃんの声が明日から急に戻るわけでもなし。これからどうしようか?」と誰か。「ならば、船戸さん、アナタのソロでも録音しちゃどうだ?」と冗談交じりにわたし。すると、関島岳郎さん(『鳥になる日』プロデューサー)もエンジニア・石崎信郎さんも「そいつはいい、やろうやろう」とけしかけ、居合わせた一堂も「やれ、やれ」と囃し立てる。船戸さんも照れながら満更でもないご様子。そんなふうに「瓢箪から駒」(冗談から駒?)が出てきてはじまったのが本作。怪我ならぬ風邪の功名だね。それでも翌日には実際に録音が始まったのだからすごい。関島さんは本作のために「東山」という重厚な名曲を一晩で書き上げてくれたし、船戸さんもあたためていた作品を何曲か持参して初リーダー作にやる気を示してくれた。それにしても船戸博史の身軽さよ。コントラバスという家具のように重たくてでっかい楽器を小脇に抱えて京都の町の筋から筋を曲芸師よろしく自転車に乗ってきたもんだ。その姿を見てオレは思ったね、この人は正真正銘の自由人だな、と。コントラバス一つ、身ひとつで世界と異界を跨ぐマージナルマン・船戸博史。
2018.2.21 神谷一義(オフノート)