島うたの神髄がこのディスクのなかにある。
現代沖縄民謡界の重鎮・知名定男が満を持して放つフル・アルバム。
低く深い声が、三絃のきらりとした音色が、島の心をうたいあげる。
毛遊びー(歌垣)謡から芝居唄、口説うたから舞踊曲、抵抗歌から破れ唄の類いに至るまで。沖縄島うたの豊穣を自らの声ひとつ、三絃一つで緩急自在に唄い分けて魅せる類稀な歌唱センスと圧倒的な底力。低く深く響く歌声とぎらりと光る三絃が紡ぐ音の粒立ちが顕現する古今東西沖縄の風物を明るく照らし、万物流転する島の宇宙を走馬灯のように妖しく映し出す。風狂の謡人・嘉手苅林昌、登川誠仁ら伝説の島うた名人たちの依鉢を引き継ぐ正嫡は最早、知名定男をおいて他にいないことを万人に知らしめた琉球音楽史上燦然と輝く歴史的名盤。古謝美佐子を筆頭に結成間もないネーネーズが全面参加して初々しい歌声を披露しているのも聴きどころのひとつ。1991年作品
1. ナークニー~ハンタ原
2. 浜育ち
3. 廃藩ぬ士
4. 梅の香り
5. 舞方
6. 十番口説
7. 国の華
8. 憧れの唄
9. 久葉山越地
10. 屋嘉節
11. 遊び県道節
12. すみなし節
13. ナークニー~汀間とぅ
[試聴]
8. 憧れの唄:
■ 商品説明
沖縄島うたの豊穣を自らの声ひとつ三絃一つで緩急自在に唄い分けて魅せる類稀な歌唱センスと圧倒的な底力。低く深く響く歌声とぎらりと光る三絃の粒立ちが顕現する沖縄の万物、島の宇宙を走馬灯のように映し出す。風狂の謡人・嘉手苅林昌、登川誠仁ら伝説の島うた名人たちの依鉢を引き継ぐ正嫡は最早、知名定男をおいて他にいないことを万人に知らしめた琉球音楽史上燦然と輝く歴史的名盤。
■ 商品仕様
製品名 | 島うた / 知名定男 |
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型番 | ASCD-2001 |
JANコード | 4571258154013 |
メーカー | ディスクアカバナー |
製造年 | 1991年 |
MEMO 島うた 2018
91年にリリースした本作は『IKAWU / ネーネーズ』と併せて、わたしがはじめて制作に携ったアルバムだ。発売から四半世紀以上過ぎたがいま聴いても新鮮に感じられるのは、沖縄の唄が悠久の時間に接続して共に流れているからにほかならぬ。沖縄にあって唄は大衆の叡智に研磨され、時代に合わせて臨機応変に変容していくのである。その当為の結果として唄は「不易流行」の呂律を奏でつづけるのだ。琉球は小さな島々の集合体だけれども、そこで歌い継がれる唄は絶えず千変万化を繰り返して星雲の規模を有する。島うたコスモロジー、その使者こそが知名定男その人である、わたしたちはそう確信した。もし、あなたがその証拠を示せと言うなら、本ディスクを聴いていただければいい。本作は島うた無限大の多様性を顕現して間然するところがない。答えは自ずと明瞭になるだろう。ただ、先に知名定男の非凡な才能を評し、つづけて「確信した」と過去形で綴ったのはほかでもない。この不世出の唄者の現在が「大御所」という安住の地に納まっているように見えて歯痒いからである。年回りもあるだろう、幼少の頃から島うたの後継と目され、正嫡を予納されていた稀有な才能からすれば正当な世間的評価なのかもしれない。だが、ちいせぇ。この唄者の埋蔵量はもっともっとデカイはずである。やはり、知名定男には「隠居」は似合わない、「生涯現役」こそがこの人の生き方には相応しいだろう。また、艶やかな知名定男一代の「情歌」が聴きたい。ここに収められた唄の数々も新たな息が吹きこまれ、さらに賦活してくれることを待ち侘びているにちがいない。さあ、さらなる島うたルネサンスを!
2018.2.15 ディスクアカバナー 神谷一義