われらのオーラルヒストリー。いま、鳴り響き鳴り渡るモノガタリルネサンスの鼓動。
浪曲河内音頭の至宝・日乃出家小源丸、珠玉の十三篇を集めて集成した河内音頭の決定盤。「日乃出家小源丸全盛期の歌声は「人間アンプ」の異名に相応しく、飽くまで力感と躍動感に漲り、五体全身から奔流のごとく汪溢する。浪曲の物語性を音頭の呂律で激しく揺さぶり賦活して交響する劇性と激情が織りなす熱と力と生命のドラマ。転回し展開する「人生劇場」長尺の物語は語りと呂律の間に激情を噴出させながら、庶民大衆の哀歓、喜怒哀楽を微細に滲ませて芸能の始原を走馬灯か影絵のように映し出す。伴奏陣は河内音頭界をリードする日乃出家&三音家の精鋭たち。河内音頭特有の語りと音が相克と相乗を繰り返し繰り返して情操の奥底にねむる原初の感情を喚起して、聴くものを彼岸=モノガタリ空間へととおく運び、連れ出してくれるだろう。語り芸と音曲を繋ぎ架橋する日乃出家小源丸の力業。浪曲河内音頭の一到達点、語り芸の真髄がここにある。 「語り芸」と「音曲」を架橋する物語ルネサンスがいまここからはじまる。監修:三音家小浅丸 2019年作品
浪花節と河内音頭を架橋する日乃出家小源丸の至芸
ここ数年の懸案だった日乃出家小源丸師、浪曲音頭の至芸を『河内音頭奔流 日乃出家小源丸十三夜』としてようやくここに四枚組CDにまとめることができた。現在、数多いる河内の音頭取りのなかで最大のレパートリーを誇るのは小源丸師である。その題材(ネタ)の多くは浪花節から採られ、独自の創意工夫を加えて音頭の身の丈に合わせて仕立て直したものだ。小源丸師は自らを「野武士」と規定し、「櫓の芸」と公言して憚らない。が、自らの出自をつたえるこの名乗りのうちに、古代・中世から連綿とつづく「語りものの系譜」をもういちど、芸能の始原へと力ずくで引き戻し、原点回帰させようとする強い意志を読み取らないわけにはいかない。本来、「路上」の芸能であった「語り芸」を、舞台へ乗せるには先人たちによる相応の、血と汗の滲む辛苦と努力があったのはまぎれもない。その意味で泥(路上)から板(舞台)への転身は「語りもの」の栄光と呼ぶに相応しい。だが、その転位の過程で、舞台で入手した「洗練」と引き換えに、「語り芸」が本来備えもっていた「野生」の逞しい生命力を喪失していったのもまた事実だろう。日乃出家小源丸師の浪曲音頭の至芸は「舞台」と「櫓」、「語り」と「音曲」、「洗練」と「野性」に架橋する。浪花節の物語性を音頭の呂律で劇しく揺さぶり、賦活して交響させるのである。物語の劇性と激情が励起する「舞台」と「櫓」の往復運動。そのなかに「語り芸」の往くべき道がくっきりと浮かび上がるだろう。日乃出家小源丸師はきっと、本作を「物語再生」の嚆矢として、音頭の側から浪花節(引いては語りもの全体)への恩返しを見事に果たしてくれるにちがいない。(本作あとがきより)
壱
第一夜 中山安兵衛 一八分五九秒
第二夜 谷風、情相撲 二〇分五四秒
第三夜 牛若丸と弁慶(江州音頭) 一八分三七秒
第四夜 荒木又右衛門 二一分三秒
貳
第五夜 武蔵屋新造 二四分二七秒
第六夜 水戸黄門(安倍川の宿) 二二分三六秒
第七夜 上州男一匹 二九分三八秒
参
第八夜 遠山金四郎 二二分四七秒
第九夜 薮井玄以(大阪の巻) 二一分四八秒
第十夜 赤城しぐれ 一七分五五秒
四
第十一夜 王将(坂田三吉夫婦駒) 三二分
第十二夜 吉原百人斬り 十四分五〇秒
第十三夜 真柄勘内道中記 二九分一九秒
CD四枚組 / ブックレット〈二分册・総頁136・解説&音頭文句収載〉付
解説:朝倉喬司、芦川淳平
監修 三音家小浅丸
[試聴]
第一夜 中山安兵衛
■ 商品説明
浪曲河内音頭の至宝・日乃出家小源丸、珠玉の十三篇を集めて集成した河内音頭の決定盤。河内音頭特有の語りと音が相克と相乗を繰り返し繰り返して情操の奥底にねむる原初の感情を喚起して、聴くものを「彼岸」=モノガタリ空間へと誘い出す。転回し展開する人生劇場、長尺の物語は「語り」と「呂律」の間に激情を噴出させながら、庶民大衆の哀歓、喜怒哀楽を微細に滲ませて「芸能の始原」を走馬灯か影絵のように映し出す。われらのオーラルヒストリー。「語り芸」と「音曲」を架橋する物語ルネサンスがいまここからはじまる。
■ 商品仕様
製品名 | MRON-3005 河内音頭奔流 日乃出家小源丸十三夜 / 日乃出家小源丸 |
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型番 | MRON-3005 |
JANコード | 4571258160052 |
メーカー | ミソラレコード / オンドナウ |
製造年 | 2019年 |